夕暮れ時は逢魔時とも言う

ある日の夕暮れ、私はいつものように家に帰る途中だった。だが、その日は何かが違った。いつもの道が何か違うように感じられ、不安を感じてよく周りを見てみると何処かいつもとは違う、それでいて見たことのない景色が広がっていた。私は不安を感じながらも、止まる事が出来ずにその道を進んでしまった。
歩いているうちに、私は私ではない私に出会った。驚きと混乱の中で、そのもう一人の自分に話かけた。向こうの私も驚いた顔をしていた。ノンキな話だがその顔を見て、私の驚いた顔ってこんななんだ、なんて思ったりして。その後はお互いの事を話し合い、共通点や違いを見つけていった。私と全く同じ見た目、同じ考え方なのに、意外にも違う事もかなりあった。
時間が経つにつれて、私はこの奇妙な体験が現実なのか夢なのか分からなくなってきた。私は時計を見たが、ほんの5分しか経っていなかった。しかし、体感では何時間も過ぎたように感じていたのに。いや、少なくとも5分では済まないくらいに話し込んでいたはずなのに。
突然、眩しい光が落ちてきた。
本当に落ちてきたと言うのが正しい。
その眩しい光に思わず目を閉じた。そしてその光が収まった時には私は元の場所に戻っていた。どうやって戻ったのか、何が起こったのか全く分からなかった。ただ一つ確かなことは、この体験が私にとって大きな意味を持つものであり、これからの人生に影響を与えるだろうということだった。